プラントベースの食事は健康的なイメージがありますが、実は**タンパク質・脂質・炭水化物(PFCバランス)**を意識しないと、栄養が偏ってしまうこともあります。
特に筋トレやダイエットをしている方は、高たんぱく・良質な脂質・安定した炭水化物をバランスよく摂ることが重要です。
この記事では、プラントベースでも無理なくPFCバランスを整える方法と、具体的な食品例・献立例をご紹介します。
プラントベースのPFCバランスとは?
PFCバランスとは、三大栄養素である**Protein(タンパク質)・Fat(脂質)・Carbohydrate(炭水化物)**の摂取割合のことです。
一般的な目安は以下の通りです。
栄養素 | 割合(目安) |
---|---|
タンパク質 | 15〜20% |
脂質 | 20〜30% |
炭水化物 | 50〜65% |
プラントベースでは肉や乳製品を減らすため、タンパク質や脂質が不足しやすく、炭水化物に偏る傾向があります。
だからこそ、意識的な食材選びが必要です。
高たんぱく植物性食品と摂り方
タンパク質は、身体の細胞や組織、筋肉などを作り上げるために必要な栄養素です。また、酵素やホルモンの合成にも必要です。タンパク質はアミノ酸から構成されており、体内で合成できない必須アミノ酸があります。そのため、食事から適切な量のタンパク質を摂取する必要があります。
タンパク質の必要量は、身体の大きさや性別、運動量などによって異なりますが、一般的には体重1キログラムあたり1グラム程度が推奨されています。例えば、体重60キログラムの人であれば、1日に60グラム程度のタンパク質を摂取する必要があります。
タンパク質不足になりやすい理由
タンパク質は、筋肉・臓器・皮膚・髪・爪など、体を構成する主要な材料です。さらにホルモンや酵素の生成にも不可欠で、代謝や免疫機能にも深く関わっています。
動物性食品(肉・魚・卵・乳製品)は、必須アミノ酸のバランスが良く、少量でも高タンパクです。しかし、プラントベースでは動物性を減らすため、同じ量のタンパク質を摂ろうとすると食材の量を増やす必要があるのが難点です。
また、植物性タンパク質は「非完全タンパク質」が多く、単品ではすべての必須アミノ酸を十分に含まないことがあります。豆類+穀物など、食材の組み合わせを工夫しないとアミノ酸スコアが低くなり、長期的には筋肉量の減少や代謝低下、免疫力の低下につながります。
高たんぱく植物性食品リスト
- 大豆ミート
- テンペ
- 豆腐・納豆
- レンズ豆・ひよこ豆
- ピーナッツバター
- キヌア(穀物の中でも高たんぱく)
これらを豆+穀物のように組み合わせることで、必須アミノ酸をバランスよく摂れます。
サプリで補う選択肢
忙しい日やトレーニング後は、ヴィーガン対応のプロテインも便利です。
良質な脂質の摂り方とおすすめ食品
脂質は、細胞膜の構成要素として必要なほか、エネルギー源としても使われます。また、ビタミンAやD、E、Kなどの吸収にも関与しています。脂質には、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸などがあり、摂り過ぎると健康に悪影響を与えることがあるため、摂取量には注意が必要です。
脂質の必要量は、タンパク質と同様に個人差がありますが、一般的には総エネルギー量の25~30%程度が推奨されています。
脂質不足になりやすい理由
脂質は「太る原因」と思われがちですが、実は細胞膜・ホルモン・脳神経の材料であり、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収にも不可欠です。
動物性食品や加工食品を減らしたプラントベースでは、調理油やナッツ類など意識的に摂らないと脂質量が不足しやすい傾向があります。特に必須脂肪酸であるオメガ3は体内で作れないため、チアシードや亜麻仁油などから摂る必要があります。
脂質が不足すると、肌や髪の乾燥、ホルモンバランスの乱れ、集中力の低下、免疫力の低下など、見た目と健康の両方に影響が出ます。プラントベースでも**「良質な脂質」を計画的に摂ることを意識しましょう。
良質な脂質を含む食品
- アボカド
- オリーブオイル
- アーモンド・くるみ
- チアシード・亜麻仁油
オメガ3脂肪酸の重要性
オメガ3は脳やホルモンの健康維持に必須です。酸化しやすいので、低温保存や加熱しない使い方が理想。
炭水化物の摂り方とおすすめ食品
炭水化物は、身体にエネルギーを供給するための主要な栄養素です。炭水化物には単糖類、二糖類、多糖類などがあり、食物繊維も炭水化物の一種です。炭水化物を消化すると、体内にブドウ糖として吸収され、エネルギー源として使われます。
炭水化物の必要量は、体重や運動量によって異なりますが、一般的には総エネルギー量の50~60%程度が推奨されています。ただし、過剰に摂取すると肥満や糖尿病などの疾患リスクが高まるため、バランスの良い食事を心掛けることが大切です。
炭水化物の役割
エネルギー源としてだけでなく、食物繊維やビタミン・ミネラルの供給源にもなります。
血糖値を安定させる低GI食品
- 玄米
- オートミール
- 全粒パスタ
- さつまいも
避けたい炭水化物
白米・白パン・菓子類など精製された食品は血糖値が急上昇しやすく、腹持ちも悪くなります。
1日の献立例(高たんぱく・低GI)【簡単レシピ付き】
筋トレ期
朝:オートミール+豆乳+ナッツ+ヴィーガンプロテイン
- 材料(1人分)
- オートミール 40g
- 無調整豆乳 150ml
- お好きなナッツ(アーモンド・くるみ)20g
- ヴィーガンプロテインパウダー 1スクープ
- 作り方
- 器にオートミールと豆乳を入れ、電子レンジで1分半加熱
- ナッツとプロテインを加えて混ぜる
- 甘みが欲しい場合はメープルシロップを少量
昼:玄米+大豆ミートの生姜焼き+野菜スープ
- 材料(1人分)
- 玄米ごはん 150g
- 大豆ミート(ミンチタイプ)50g
- 玉ねぎ 1/4個
- 生姜すりおろし 小さじ1
- 醤油・みりん 各大さじ1
- 野菜スープ用野菜(人参、キャベツ、ブロッコリーなど)150g
- 作り方
- 大豆ミートは熱湯で3分戻し、水気を切る
- 玉ねぎと大豆ミートを炒め、生姜・醤油・みりんで味付け
- 野菜スープは野菜を切って鍋で煮込み、塩で味を整える
夜:テンペと野菜の炒め物+味噌汁
- 材料(1人分)
- テンペ 80g
- ピーマン 1個、パプリカ 1/2個
- 醤油 小さじ2、みりん 小さじ1
- 味噌汁(豆腐、わかめ、長ねぎ)
- 作り方
- テンペと野菜を食べやすい大きさに切る
- フライパンで炒め、醤油とみりんで味付け
- 味噌汁は鍋で具材を煮て味噌を溶き入れる
減量期
朝:スムージー(豆乳+冷凍フルーツ+ヴィーガンプロテイン)
- 材料(1人分)
- 無調整豆乳 200ml
- 冷凍バナナ 1/2本
- 冷凍ベリー類 50g
- ヴィーガンプロテイン 1スクープ
- 作り方
- 全ての材料をミキサーにかけるだけ
- 甘みが足りない場合はデーツやメープルシロップを少量
昼:サラダボウル(キヌア+豆+アボカド+野菜)
- 材料(1人分)
- キヌア 50g
- 茹でたひよこ豆 50g
- アボカド 1/2個
- 生野菜(レタス、トマト、きゅうりなど)150g
- オリーブオイル・レモン汁 各小さじ2
- 作り方
- キヌアは茹でて冷ます
- 野菜とアボカドを食べやすく切る
- 全てをボウルに盛り、オリーブオイルとレモン汁で和える
夜:スープ+全粒パン
- 材料(1人分)
- 玉ねぎ 1/4個、人参 1/3本、セロリ 1/3本
- 野菜ブイヨン 300ml
- 全粒パン 1枚
- 作り方
- 野菜を細かく切り、鍋で炒める
- 野菜ブイヨンを加えて煮込み、塩で味を調える
- 全粒パンを添える
💡 ポイント
これらのレシピは、宅配野菜を使うと旬の食材が揃い、栄養価が安定します。
特に忙しい人は下処理済みや冷凍野菜を選ぶと調理がラクになります。
栄養不足を防ぐために意識したいビタミン・ミネラル
プラントベースの食事は、野菜・果物・穀物から多くの栄養を摂れますが、動物性食品を減らすことで不足しやすい栄養素もあります。
特に以下の4つは、意識して摂ることが大切です。
1. ビタミンB12
- 役割:赤血球の生成や神経の健康を維持
- 不足すると:貧血、疲労感、手足のしびれ、集中力低下
- 摂取方法:
- 動物性食品に多く含まれるため、プラントベースでは不足しやすい
- 強化食品(B12添加の植物性ミルクやシリアル)やサプリメントで補給
- ポイント:週に数回のサプリ摂取でも効果的
2. 鉄
- 役割:血液中のヘモグロビンを作り、酸素を全身に運ぶ
- 不足すると:鉄欠乏性貧血、息切れ、肌や髪のパサつき
- 摂取方法:
- 植物性食品では非ヘム鉄(吸収率が低め)として含まれる
- 含有食品:ほうれん草、小松菜、ひよこ豆、レンズ豆
- ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップ(例:ほうれん草+レモン汁)
- ポイント:鉄鍋で調理すると微量の鉄分が食品に移る効果もあり
3. カルシウム
- 役割:骨や歯の健康、筋肉の収縮、神経伝達
- 不足すると:骨粗しょう症、筋肉のけいれん、骨折リスク増加
- 摂取方法:
- 豆乳(カルシウム強化タイプ)、チアシード、アーモンド、ケール
- 吸収率を上げるためにビタミンD(きのこ類や日光浴)と組み合わせる
- ポイント:コーヒーや紅茶のタンニンは吸収を妨げるため、同時摂取は避ける
4. 亜鉛
- 役割:免疫力の維持、味覚・嗅覚の正常化、細胞の修復
- 不足すると:風邪をひきやすくなる、味覚障害、傷の治りが遅くなる
- 摂取方法:
- かぼちゃの種、カシューナッツ、ひよこ豆、オートミール
- 吸収を阻害するフィチン酸(豆や穀物に含まれる)を減らすため、調理前に浸水させると良い
- ポイント:少量でも毎日摂取することが重要
💡 まとめポイント
- プラントベースでは、特にビタミンB12と鉄は意識的な補給が必要
- 食べ合わせや調理法で吸収率を高められる
- サプリや強化食品を活用すれば、無理なく不足を防げる
まとめ
プラントベースの食事は、動物性食品を使わなくても**PFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)**を意識することで、健康維持はもちろん、筋肉の維持やダイエットにも十分対応できます。
ポイントは、高たんぱく植物性食品の組み合わせ、良質な脂質の確保、低GI炭水化物の活用です。
献立のパターン化や常備食材のストック、宅配野菜の活用を組み合わせれば、買い物や調理の手間を減らしながら栄養バランスを保てます。
今日から一食だけでも置き換えて、プラントベースの食事を生活に取り入れてみましょう。
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